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二人はしばらく黙って素朴な甘さの木の実をかじっていた。
先に食べ終えて、中に入っていた大きな種をその辺に植えてしまったゆきるは、やっと口を開いた。
「この世界にはね」
「うん」
「ことばが話せる生き物が、もっといっぱいいるんだよ。……この世界だけじゃない、……この世界からいなくなってしまったひとだって」
ゆきるは空を見上げた。
「あたしの友達は、みんな”人間“ではないの。……けど、幸せ。あたしの周りにはいっつも誰かがいてくれる。あたしは鳥にもなれる。花にもなれるの」
「……うん」
次は天が声をかける番だった。
「いつもこんな風に生活してるのか」
「うん」
「肉とか食べずに」
「……うん」
それではこうなってしまうのも当然だ、と天は彼女の細い肩を見つめた。
しばらくここでこんな生活をしているのだから、果肉だけで生きられるような体になってしまったのかもしれないが、それでもこのままではこの少女の未来はあまりに明らかだった。
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