第四章 恐れの歌

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「君にとっては余計なお世話かもしれないけど」天は口を開いた。「このままの生活を続けることはあまり勧めたくはないな」 「うん」 「下手したら明日にでも死ぬかもしれない。普通の人間の寿命の半分かもしれないんだ」 「……うん」 ゆきるは頷き、頷き、……何度も頷いて、そしてやがて軽く肩を震わせた。 「……うん。……わかってる」 天はゆきるの横顔を盗み見た。 固く結んだ唇が震えていた。 今にも泣き出しそうな瞳は黒く濡れていた。 ――どうしてこんな。 その言葉はのどでつっかかったように、出て来ないまま消えた。 ゆきるのその横顔には、何も問うことが出来なかった。 ――どうしてこんなところに住んでいる? 「天」 ゆきるは引きつった妙な笑みで天を見た。 「……もうすぐ日が暮れる。帰ったほうがいいよ」 天は抵抗をやめた。 「……うん」 向きを変え、歩き出す天の背に、ぽつりと、ひどく弱弱しい声がかかった。 「……ごめんね。……外……怖いんだ……」 天は滝の音で聞こえなかったふりをして、速度を速めて森の出口へと急いだ。
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