第五章 仲直りの歌

5/6
前へ
/162ページ
次へ
やっと西瓜は半分になった。 天はその後また四分の一にする予定だったが、予想以上に時間がかかるとわかり、仕方なく半分をゆきるに渡した。 「半分でも、おっきいんだねぇ」 ゆきるは輝いた目で言った。 「うん」 天は、今にも西瓜にかぶりつきそうなゆきるに、慌てて付け足すように言った。 「あ、種がめちゃめちゃあるから気をつけてね」 「え?」 ゆきるは、それを聞いたころにはもう口いっぱいに西瓜の種を含んでいた。 「あーっ!これあれでしょ!種飛ばして遊ぶやつ!」 「遊ぶためにあるものじゃないと思うんだけどな……」 「ね、勝負しない?」 「何の」 「どっちが遠くに飛ぶか」 「イヤ……だからそんなの競って勝ってもさ……なんか微妙」
/162ページ

最初のコメントを投稿しよう!

111人が本棚に入れています
本棚に追加