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「久しぶりだ…」
眼前に広がる青い星を見て、坊主頭の若い男、ベグル・モナンはそう言った。吊り目で、その耳にはピアスをし、とても軍人らしからぬ風貌だ。
「一ヶ月ぶりだな」
ジェラルド・ギャリックが、そう応える。30代半ばの彼の顔は、初対面の相手に、実直で真面目な印象しか与えない。事実、印象通りの人間だった。体つきも良く、少し生やしたアゴヒゲは神経質なくらいきっちり整えられていた。
「もう二度と地球の土は踏めないと思いましたよ」
嬉しそうにメガネの娘も言う。
20歳そこそこなのに、短めの髪型や、大きな目…そして高くて幼い声が、同年代から年下に見られてしまう。
「もう少しで大気圏だ。アラン曹長、家族には連絡したのか?」
ジェラルドは部下のアラン・ルーツを見た。
常にうつ向きがちの彼は聞き取りにくい小さな声で答える。
「一応…母が」
「そうか。自由な時間はないに等しい。一目でも会えると良いな」
「ママのおっぱい吸う時間はねぇってよ、アラン!」
坊主頭のベグルがアランを茶化す。
「…」
アランは言い返さなかった。ベグルを一瞬睨んだたけだ。
「ちょっと。レディの前でセクハラ!」
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