明日なき宇宙(そら)へ

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 宇宙世紀━━━増え過ぎた人口の一部が宇宙の「コロニー」と呼ばれる筒状の居住区に移り住むようになった年を宇宙世紀(U.C.)元年とし、85年の歳月が過ぎた。  6年前のU.C.0079年。宇宙世紀初の大規模な戦争が起きた。宇宙移民と地球人との戦争であった。  サイド3というスペースコロニー群がジオン公国と名乗り、宇宙移民独立のための戦争を仕掛けてきたのだ。  地球連邦軍にいたジェラルドはジオンに対して憤慨した。  宇宙移民、スペースノイドの独立を求めながら、同胞であるスペースコロニーに毒ガスを散布し全滅させたあと、そのスペースコロニーごと地球に叩き付けたからだ。  結局ジオンは独裁者の血縁一族による権力闘争で自滅し、ジオンは敗戦する。  地球人、特に特権階級とも言うべき上層部の人間は、確かに宇宙移民に対する関心が病的になかったといえる。  しかし、ジオン公国はスペースノイドの独立という大義のもと、地球を支配下にしたかっただけではないか。  この戦争で人類の総人口の半数が宇宙の塵となったのだ。  あの戦いは正義であった。ジェラルドは確信していた。
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