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ヒューイはジェラルドを見た。
「そうだ。真実なんだ。まあ、このメールを見てくれ。日付は30バンチコロニー事件の前日だ。見ろ。弟からはウィルスも伝染病の文字も一つも出て来てない」 パソコンのモニター上でジェラルドはヒューイの弟からのメールを指で追う。
「…確かに…書いてあるのは…明日は反地球連邦の集会が…大規模なデモが予想され…」
そこまで読むとジェラルドは目を閉じ、うなだれた。
「…これはテロだ…」
「そうだジェラルド。弟はティターンズに殺されたんだ。もう、疑いようがない。あまりにも稚拙なパズルだ」
ヒューイは、悲しさでも怒りでもない感情に襲われた。
これは何だ。まるで力が入らない。
虚無…気力が抜けきった虚無感。
しかし、代わりに、ずっとつかえていた涙が、どっと溢れてくれた。
ジェラルドは、ただヒューイの肩に手を置くことしか出来ない。
なぜなら彼も、同じ虚無感を感じていたからだ。
まるで神に裏切られたような衝撃だった。
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