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サイド1という、スペースコロニー群のひとつ、「30バンチ」。
先日、このコロニーの居住人が極めて高い致死性を持った伝染病に侵され、 居住人すべてが死亡するという、痛ましいという言葉では片付けられない惨劇が起きた。
しかし、地球連邦政府はこれを「痛ましい惨劇」の言葉だけで処理してしまった。
宇宙世紀来、地球連邦政府は宇宙に暮らす人々に無関心だった。己のことしか考えない「魂を重力に惹かれた人間」という言葉は、あまりにも有名で的を得ていた表現であったが、今回の処理の仕方には連邦政府議員はもとより、軍からの非難の声も多かった。
ジェラルドもそのひとりであった。
何が原因だったのか?
何故そこまでウィルスが伝染するスピードが速かったのか。
そのコロニーは放棄するのか?
再発防止の策はうたないのか。
何もかも不透明のまま、連邦政府より正式に発表があったのは紙一枚の報告書だけであった。
その矢先だ。同僚のヒューイが話があるとジェラルドの部屋に押しかけて来たのは。
そして先刻の二人の会話に繋がる。
ヒューイが部屋を去るとジェラルドはネットで「30バンチ事件」をもう一度検索してみた。
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