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ふわりと。
体からオレ自身が抜けて、
宙に浮いていく。
ふわりふわりと
屋根を抜け、上っていく。
オレが14年過ごした、
幸せな一軒家が見える。
ふわり
ふわりと
丘が見える。
展望台が見える。
もうすぐ夜明けだ。
ああ。この街は。
夕暮れも綺麗だけど、夜明けもなんて綺麗なんだ。
丘の上に展望台が光っている。
ここが街の頂点だぞと。
オレは崇高な気持ちになり展望台を見つめた。
展望台は、わかればよろしいとでも言うように、夜明けの丘いっぱいに優しい風を立ち込めて二人の歌を響かせた。
ボゥ……とオレの耳に
オカリナの土の音が轟いた。
ふわり
ふわりと揺られながら
これからどこへ行くのかが、
はっきりと分かった。
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