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……
ゆらり
オレを待っていたのは白い世界だった。
意識が戻った時に、オレは全てを思い出した。
いや、理解した。
辺りは真っ白で、
ただただ白い。
ここは魂の集まる場所。
下界で生を果たした魂が集まり、流れる聖地。
ここに着いた瞬間に、魂は全ての『生命の営み』を理解する。
――-輪廻転生――
全ての生命は脈々と続いている。生命はみな何らかのイレモノに宿り、一生を終え、ここに集まる。
ここを便宜的に天国と呼ぶにしても、それはあまりに虚無に満ちた世界。
オレの体は、魂は。
浮いているのか、流れているのか、歩いているのか……一本の緩やかな流れの中に在る。
流れに身を任せながら、たった今終えたばかりの生涯を思い起こす。
――亜紀ちゃん。
ごめんな、亜紀ちゃん。せめて、受験までは一緒にいたかったけれど。
でも亜紀ちゃんもここへ来ればわかるよ。思い出すよ。
脈々と繋がる生命が。
なぜ生きていくのかという意味が、わかるよ。
命はね、地球を、宇宙を流れる細い一本の糸のようで、それはぐるりと繋がってるんだ。
ここへ来て始めて思い出すんだよ。
オレ達はみな、絶える事の無い流れの中で「生」を繰り返すんだ。
ひとつ終えたら、ここで次の転生を待つんだよ。機が熟すまでただ流れ、漂い待ってるんだ。
大河に浮かぶ花びらのようにね。
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