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面白いやつ…
「上城君っ、今日は食堂なんだね」
「私も一緒に食べてもいいかな…?」
「私も私も!」
ふと気付けば周りには女子が集まりだしていた。あー…ヤバイ…ι
こうなるだろうからあえて食堂に来るの控えてたんだった…。今朝コンビニ寄るの忘れたから仕方なく来たが…やっぱり…。
「上城君、そっちの人は誰?見掛けない人だけど…」
すると話題は俺の向かい側に座っている遠堂の方へと変わった。
巻き添えしちまったか?なんて思っていると、遠堂は熱い視線を送る女子の方へ向くと、笑顔を浮かべた。
「初めまして、今日転校してきた遠堂樹理です。よろしく、姫君達」
綺麗に微笑むと辺りは黄色い声が発声した。
姫君達って…なんてくさいセリフを…よくもまあぬけぬけと…
…人のことを言えたもんじゃないけど─‥
やっぱり、こいつはジュリエットに似てる…
「じゃ、俺は教室に戻るから」
その声にハッとすると、遠堂はいつの間にか弁当を食べ終わっていて、ちゃっかり包み終わり、さっさと食堂を後にした。
「なあ上城、あいつヤバイと思わね?」
「は?」
「そうそう、転校初日で上城ファンクラブの若干名はあいつにときめいてたぞ。要注意だな」
「容姿は上城といい勝負してるしなぁ」
「あとは中身かな…」
俺は悩んでた。
三原と冴木の会話なんてあんまり聞いていなかった。走り去ったあいつの後ろ姿の残像がまだ残っていたから。
微笑んだあの顔…
ジュリエットもあんな感じで笑っていたっけ。男にはそっけなくて、女には紳士な対応をする。
かつて彼女が男として生きていた頃にそっくり…
…やっぱり─‥
ようやく俺の中で答えが出た。
確かめる。
それしかない…!
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