第一話~ナイトとの戦い~

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カイトとヒューズが四界一死闘会の会場を去ってから半年が経過した。 二人は『十二支の塔』の門に到着した。 男が一人、門を背に胡座(あぐら)をかいて座っていた。 「サタンの者か」 ヒューズが男に尋ねると、男は立ち上がり、二人に近づいてきた。 「あ!」 カイトが驚いて声をあげる。その男とは、数年前に殺したはずのナイトであったのだ。 「よ、カイト」 ヒューズはカイトのほうを見る。 「知り合いか?」 カイトは頷(うなず)く。 「はい。三、四年前に……俺が、殺したヤツです」 「ふむ、殺し損ねたのか」 カイトは首を振る。 「そんなはずはありません。脈も心臓も鳴ってなかったし、埋葬(まいそう)もしました!」 ナイトは、かつて自分が使っていた〝フランヴェルジュ〟を鞘(さや)から抜き取り、構えた。 ヒューズは〝フランヴェルジュ〟に目をやる。 「その剣……閻魔葵が使っていなかったか?」 ナイトは首を振る。 「元は俺のだ」 カイトも〝レイピア〟を鞘から抜き取り、構える。 「勝負だ!ナイト!」 ナイトはヒューズのほうを見た。 「レヴィル、門を潜(くぐ)りな」 「なに?」 「俺はカイトと戦いたいだけだ」 ヒューズはふっと微笑し、門を少し開け、中に入っていった。 「カイト」 「なんだよ」 「俺に勝てたら、どうして俺が生きてるのか教えてやるよ」 二人の剣がぶつかり合う。 「そうか」 鍔(つば)迫り合いになるが、二人はすぐに離れる。 ナイトは突きの構えをした。 「メテオ・ニードル」 ナイトのものすごい早さの突きが、カイトに飛んでくる。 カイトは剣を盾に防いだ。 「ほう」 ナイトはカイトから離れた。 「メテオ・ストライク」 ナイトは頭からカイトに突進した。ものすごい早さで。 カイトは剣の先をナイトに向ける。 ナイトは動きを止め、再び突きの構えをした。 「またニードルか?」 「いや……」 ナイトはにやりと笑った。 「メテオ千突気」 ナイトは素早い動きで何もないところを突きまくった。 「前もそんなのを――」 カイトが言い終える前に、ナイトの攻撃が遅れて無数の突きの〝気〟となりカイトに直撃した。
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