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「は、弱いから、ね……昔はそうだったかも知れないけど、今はどうかな?」
「!?」
ナイトの足が、地面から伸びている〝気〟の手に捕まる。
「なんだ?」
「ふう……」
カイトは〝気法〟で体の傷を治した。完全にではないが。
「さっき作っただろ。〝気分身〟だ」
カイトは剣を強く握りしめ、ナイトのほうに走った。
ナイトは地面から伸びている〝気〟の手に押さえられているので動けない。
「!?」
カイトの剣が突然、上のほうに飛んでいった。
「ナイト!何をした!」
見ると、ナイトを押さえていたはずの〝気〟の手は消えていた。
「俺は何もしちゃいない。白湯羅(さゆら)だな」
巨大な扉が壊され、女が入ってきた。
「あ、バレちゃった?」
「当たり前だ」
『十二支の塔』の門を壊していいのだろうか。
「ヒューズさん、ヒューズさんはどうした!中に入ってっただろ!」
ナイトは白湯羅を思いっきり殴った。
「そうだどうした」
白湯羅は頬(ほお)を擦(さす)りながら立ち上がった。
「痛いなぁ、もう。討伐隊の副隊長さんなら『巳の塔』に案内したよ」
どうやら生きているらしい。
カイトの前に〝レイピア〟が落ちてきて、地面に突き刺さった。
「あぁっと、私は羽倉白湯羅(はぐらさゆら)。能力は『糸』、よろしくね♪」
ナイトは再び白湯羅を殴った。
「うぅ……痛いですぅ……」
白湯羅は頬を擦りながら立ち上がる。
「よろしくね♪じゃねぇよ!これは俺とカイトの戦いだ!白湯羅、お前は引っ込んでろ!」
「ちっ」
白湯羅は舌打ちをして、門を壊して中に入っていった。
「死んでもしりませんからねぇーっだ!」
ナイトにアカンベーをしたあと、姿が見えなくなった。
白湯羅が門を壊したおかげで、『十二支の塔』はカイト側から丸見えになった。
塔がいくつか見えて、奥にあるマグマらしきところから湯煙(?)が昇ってる。高い壁が立ちはだかり、その上に屋敷がある。塔の上のほうから橋か何かがかかっていた。
「さあカイト、続きを始めようか」
ナイトは拳の骨を鳴らしながら、カイトに歩み寄ってきた。
「ああ」
カイトも拳の骨を鳴らしながら、ナイトに歩み寄る。
そして互いに睨みあう。
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