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『巳の塔』上層部に四人の男女が集まっていた。
床に倒れているヒューズことレヴィルと蓮、壁に寄り掛かって荒い息をつく所奈、それにドアの隙間から屋敷を見つめているカイトであった。
「……………」
カイトがシェイナに見せられた、父親でありサタンのボスであるという光(らいと)の記憶。
――頭を撃ち抜き、しかし直後に彼の能力『不老不死』が覚醒し、蘇(よみがえ)った。
「う……」
蓮が目を覚ます。
「蓮、大丈夫か?」
だが蓮は立ち上がり、身構えた。
「カイトぉぉ!今度こそ、死んでもらう!」
蓮は手の平に風の球を作る。
「多分そいつ、『記憶』のシェイナに何かされたのね」
なるほど。シェイナに記憶をいじられたのか。
「そっか。ならまぁ、絆でなんとかするかな」
カイトは呑気なことを言い出し、すぅぅっと大きく息を吸い込んだあと、
「凜もお前も、俺が守ぉぉーーる!!」と叫んだ。
――ずきん。
「く」
蓮は頭を押さえてしゃがみこむ。
「前にも…どこ、かで…」
どさり、と蓮は気絶してしまった。
「隊長さん。俺、ちょっくら『未の塔』に行ってくるんで、蓮のこと頼みましたよ」
なんて言って、カイトは階段を下りていった。
「敵であるはずの私に託すなんて、どうかしてるわね。レヴィル」
むくり、と起き上がるヒューズ。
「ふむ。我々だからこそ、頼んだのだろう」
所奈はレヴィルを睨む。
「ところで、ジュジュはどこ?」
ヒューズは焦りもせずに答える。
「行方不明だ」
「あ~♪また来たんだね、えっと……?」
『未の塔』に行くと、変わらずに鳴海がいた。
「カイト」
「そうそうカイト♪ぼくは――」
「鳴海だろ。覚えてる」
ついさっきのことなので当たり前である。
「へぇ、なのに来たんだ……。ねぇカイト。さっきのアリスって人、帰っちゃった?」
「ああ」とカイトは頷く。
「そっか~♪なら、邪魔される心配はないね♪」
「!?」
鳴海の体が変化していく。
「獣人・未(ひつじ)!!」
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