第六話~再戦~

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      「ん……?」 ヒューズは身を起こす。 (どうやらまだ生きているようだな……) 思い、刺された左胸に手をやる。 「む?」 何かが懐に入っていた。 ――それは一冊の本。 「ふむ。これは冬美ちゃんのだな……」 今度謝っておくかなどと考え、いまだぶつかり合っている竜と馬に近づく。 「はぁぁ!」 覇気(はき)という名の気を放ち、竜を剣に戻し、相手の馬を消す。 「ふむ」 翔竜剣を握る。 「ニレナ。勝負あったようだな」 先程ニレナを吹き飛ばしたときにそのニレナが壁に衝突し、その壁が崩れ、外が見えている。 「まだや」 ニレナは立ち上がり、人型に戻る。 「レヴィル。わいの最初で最後の技、くらいぃ」 「……いいだろう」 ヒューズが頷くと、ニレナは壁にあいた穴から跳んで行った。 「なに!?」 ヒューズは穴から上空を睨む。 そこには当然ニレナがいて、ヒューズを見下ろしていた。 「獣人・天馬(てんま)!」 「!?」 ニレナは上空で、翼がはえた馬へと変身した。 「何をする気だ!」 ヒューズは叫ぶ。 「逃げたほうがえぇで。十二支剣法、午の型・天馬刀・斬(てんまとう・ざん)!」 気付くとニレナは巨大な刀を握っており、ヒューズに――というよりは塔に向かって振り下ろしてきた。 塔の上層部が崩れていくのがわかる。 「く……!」 ヒューズは剣を鞘に収め、手を頭上へ上げると、そこに〝気〟を集中させる。防御の体制である。 中層部が崩れてくる。 「てやぁぁ……!」 ニレナの叫びが聞こえ、ヒューズも負けじと叫ぶ。 「うおぉぉ……!」 ニレナが振った巨大な刀がヒューズの〝気〟に触れる。 (気を抜けば、文字通り、死ぬ……!) 思い、ヒューズは〝気〟を強める。 「ここで負けては、冬美ちゃんを助けられん!!」 「このロリコンがぁぁぁ!!」 刹那、ニレナの力が弱まるのを感じた。 「うぅ……あと……」 少し耐えれば、ニレナの〝気〟が尽きるはずだ。
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