第六話~再戦~

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「はぁぁぁ……!」 叫び、ヒューズは〝気〟で天馬刀を押し返す。 「ふ……」 ヒューズは自身の〝気〟がなくなりかけていることに気付き、微笑する。 (ならば……) 一気に使い、なくなったほうがマシだ。 「ふん!」 全ての〝気〟を使い、天馬刀を押し返すと、突然天馬刀は消えた。 「ふ……やった、か……」 ヒューズはその場に倒れる。 「ふぅ……」 「さてと」 『未の塔』上層部にいたカイトは、下層部から外へと出た。 「うおっ!?」 隣にあった『午の塔』が半壊していた。なぜか空中トンネルは残っている。 (そういやさっきすごい音がしたような……) その『午の塔』に近づくと、下層部だった所に人が倒れていた。ヒューズである。 「大丈夫ですか?」 「カイト君か……。ああ、大丈夫だ。〝気〟を使い過ぎただけだからね」 「そうですか」 言い、辺りを見回す。 「ん?」 ヒューズと戦っていた相手であろう男が倒れていたので、近づいてみる。 「なんや、ナイトかい」 どうやら死んではいないようだ。 「俺はカイトだ。ナイトじゃない」 「はっ、そうかい……」 男は動こうとしない。否、動けないのである。 「レヴィル。さっさとわいに止(とど)めをさしぃ。妹の仇をとるんやろ?」 するとヒューズがゆっくりと歩いてきた。 「当然だ」 妹の仇?どうやらヒューズとこの男は知り合いだったようだ。 「…………」 カイトはただそんな二人を見ている。 「…………」 カイトは昔、ジャンヌに言われたことを思い出す。 ――人を殺めたことよりも、復讐のために剣を振ったことを悔やむのだ。 目の前で、ヒューズは剣を振り上げる。 「……ヒューズさん」 「む?」 「……なんでも、ありません……」 自分が今言えることなんて何もない。 サタンを潰すってことは、復讐するってことかもしれないからな。 そう思い、カイトは何も言わなかった。 「わいの人生、つまらんかったわ……」 カイトの目の前で、一人の人間が死んだ。
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