第七話~五人の戦い(前編)~

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十二支の塔の中央にある屋敷のエントランス。 そこにカイト、ヒューズ、所奈、それに目を覚まし、記憶も戻った蓮が集まっていた。 「ナイトと巳午未(みうまひつじ)、剣と銃は倒した。ならあとは二十人弱だな」 と言ったのは蓮。 「十二支の塔の支部長である辰(たつ)がここにいることは少ない。だから十二支の能力者で気をつけるべきはあと『丑』『寅』『戌』『亥』の四人。あとは『雷』と……ああ、今は誰がいるかわからねぇ」 ――『丑』 四界一死闘会の最中、ヒューズと戦い、冬美を連れ去った男。 ――『寅』 同じく四界一死闘会の最中、葵とジャンヌを連れ去った男。 ――『戌』 同上、カイトと戦い、秋葉を連れ去った男。 ――『亥』 まだ会ったことがない人物。 ――『雷』 「雷の能力者、チロルは俺が倒す」 蓮が戦ったらしい少女。 「それはいいけど、俺は戌と戦う」 一度負け、秋葉に何かしていた男。 「ふむ。私は丑だな」 何をされたのかもわからずに負け、そのうえ冬美を連れ去った男。 「私は暇だし、レヴィルについていくわ」 所奈は外へ歩いていく。 「ほら、行くわよレヴィル。『丑の塔』に」 「ふむ」 ヒューズもあとへ続く。 「蓮、そういや白湯羅って奴はどこにいんだ?」 「白湯羅?……ああ、糸の。『酉(とり)の塔』か『戌の塔』だと思う」 『戌の塔』……なら、ちょうどいい。 「んじゃ、俺はどっちにしろ『戌の塔』ってわけか」 カイトは『戌の塔』目指し、外へ出る。 「……チロル。今度こそ、決着をつけよう」 言い、蓮は屋敷の屋根へと上がる。 「チロルー!俺と勝負だぁぁ!」 屋敷から出た直後、蓮が屋敷の屋根の上で叫んでいた。 「なにしてんだ、あいつ」 ――そして、十一時の方向にある『戌の塔』へと続く空中トンネルをくぐる。 と、 「また会ったわね、カイト」 そこには、ナイトと戦っているところを邪魔してきた『糸』の能力者、羽倉白湯羅(はぐらさゆら)がいた。
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