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「よぉ」
カイトが挨拶した直後、
ドォォン!!
激しい音とともに、カイトの横の壁が破壊され、そこから、
キィィン!
カイトはそこから出てきた人物の攻撃を剣で防いだ。
「って、ナイト!?」
壁を破壊して現れたのはナイトであった。
「また会ったな」
カイトは剣を構える。
「待てよ。俺はお前と戦いに来たんじゃねぇ。決着はついたろ?」
「……ああ」
引き分けであった気もするが、それでも決着がついたと言ってもいいだろう。
「だから……」
ナイトは白湯羅に剣先を向ける。
「ナイト?」
白湯羅は訝(いぶか)しげにナイトを睨む。
「理由は二つ」
「?」
「一つ。俺とカイトとの戦いを邪魔したから。二つ。俺は……」
刹那、ナイトは素早い突きを白湯羅に放つが、白湯羅は細い糸で剣を巻き突きの軌道を変える。
が、ナイトの横蹴りを食らい、白湯羅は吹っ飛んで壁に激突した。
「くっ……、ナイト、げほげほっ!裏切るの?」
「裏切る?……いや違う。元々なんでもないからな」
カイトはふと疑問に思った。
だが、今はそんなことはいい。あとで話せばいいことだ。
「カイト。行け」
「え?」
「だから、行けって。『戌の塔』に」
カイトは意図を理解し、ああと頷いてナイトの横を過ぎ去り、自分を睨む白湯羅をも過ぎて『戌の塔』へ入った。
「よし。やるか、白湯羅」
「いいけど、手加減はしないからね」
「当然」
蓮が屋根の上で叫んだ数秒後、『申の塔』の空中トンネルの一部が光り、そこからチロルが跳び出してきた。
「レン!まだ懲りないネ!」
「当たり前だ!俺は姉上を救うと言ったカイトを信じているんだ!」
風と雷の球がぶつかり合う。
ヒューズと所奈が『丑の塔』へと続く空中トンネルを歩いていた。
「待ちな」
何者かが二人を呼び止めた。
しかし足を止めたのは所奈だけで、ヒューズは構わず歩く。
「待ちなって言ってるだろ!」
「黙りなさい!」
所奈は足元に銃口を向ける。
「出てこないと、撃つ」
しばらくの沈黙の後、
「わかった。今出よう」
そして、床が壊れて所奈の前に謎の男が現れた。ヒューズは既に『戌の塔』に入っている。
「初めまして討伐隊の隊長殿。俺はサタンの一員、巳上千尋(みかみちひろ)だ」
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