第七話~五人の戦い(前編)~

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「あなたの名前なんかに興味はないわ」 千尋に銃口を向け、所奈は睨みつける。 「待ちな。俺もあんたには興味がない」 「そう。奇遇ね」 千尋は一歩踏み出す。 同時に銃声が響き、千尋の足に命中……してはいるのだが……。 「それがあなたの能力?」 「ああ。粘着(ねんちゃく)の能力だ」 千尋は所奈へと駆け、所奈も銃を連射しつつ後退していく。 「そんなのは効かないさ!」 「ちぃ!」 所奈は銃を投げすて、千尋に殴りかかる。 「ひひっ!ぺっ!」 と千尋は口から液体を吐き出し、所奈の腹にかけた。 所奈は動きを止める。 「あなた……粘着の能力だとか言ったわね」 二人は睨む合う。 「ああ」 「じゃあこれは粘着液ってわけね」 「そうなるな」 すると所奈は懐(ふところ)からまた新たな銃を取り出し、銃口を千尋へと向けた。 「言ったろ。銃なんて効かない」 「そうね」 所奈は構わず撃つと、それが千尋の腹に当たる寸前、その腹から粘着液が出てきて攻撃を防いだ。 「だから言ったろ。効かないと」 「えぇ、銃弾は効かないみたいね」 「?」 所奈は素早く銃弾を放ち、それが先ほど千尋の腹に命中しかけた銃弾へと当たり、 「ジ・エンドよ」 爆発した。 所奈は後退するも、爆風に巻き込まれて吹っ飛ぶ。 「さ、レヴィルを追いましょ」 所奈は『丑の塔』へと歩を進める。 「…………」 ヒューズの目の前にいるのは、『丑』の能力者であり十二支剣法の使い手、冬美を連れ去った男・牛縞亙(ぎゅうじまわたる)である。 「ふむ……あのときの副隊長か」 亙は剣を構える。 「では始めよう。ジェーンよ」 「ちっ、男か」 カイトが『戌の塔』に入ると、いきなりそんなことを言われた。 「久しぶりだな、ポチ」 「あ?おまえみたいなの知らないな」 挑発するつもりでポチと言ったのが、挑発にのることもなく薬師丸力也(やくしまるりきや)は答えた。 「半年前、俺はおまえに負けた」 「半年前?」 力也はぽんっと手をうつ。 「おぉ!四界一死闘会んとこにいる秋葉を捕まえに行ったときか」 「そうだ」 すると力也はいきなり表情を険しくした。 「てめぇ、雫を殺した野郎だな。千尋の代わりに、俺が雫の仇をとってやる!」
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