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「あなたの名前なんかに興味はないわ」
千尋に銃口を向け、所奈は睨みつける。
「待ちな。俺もあんたには興味がない」
「そう。奇遇ね」
千尋は一歩踏み出す。
同時に銃声が響き、千尋の足に命中……してはいるのだが……。
「それがあなたの能力?」
「ああ。粘着(ねんちゃく)の能力だ」
千尋は所奈へと駆け、所奈も銃を連射しつつ後退していく。
「そんなのは効かないさ!」
「ちぃ!」
所奈は銃を投げすて、千尋に殴りかかる。
「ひひっ!ぺっ!」
と千尋は口から液体を吐き出し、所奈の腹にかけた。
所奈は動きを止める。
「あなた……粘着の能力だとか言ったわね」
二人は睨む合う。
「ああ」
「じゃあこれは粘着液ってわけね」
「そうなるな」
すると所奈は懐(ふところ)からまた新たな銃を取り出し、銃口を千尋へと向けた。
「言ったろ。銃なんて効かない」
「そうね」
所奈は構わず撃つと、それが千尋の腹に当たる寸前、その腹から粘着液が出てきて攻撃を防いだ。
「だから言ったろ。効かないと」
「えぇ、銃弾は効かないみたいね」
「?」
所奈は素早く銃弾を放ち、それが先ほど千尋の腹に命中しかけた銃弾へと当たり、
「ジ・エンドよ」
爆発した。
所奈は後退するも、爆風に巻き込まれて吹っ飛ぶ。
「さ、レヴィルを追いましょ」
所奈は『丑の塔』へと歩を進める。
「…………」
ヒューズの目の前にいるのは、『丑』の能力者であり十二支剣法の使い手、冬美を連れ去った男・牛縞亙(ぎゅうじまわたる)である。
「ふむ……あのときの副隊長か」
亙は剣を構える。
「では始めよう。ジェーンよ」
「ちっ、男か」
カイトが『戌の塔』に入ると、いきなりそんなことを言われた。
「久しぶりだな、ポチ」
「あ?おまえみたいなの知らないな」
挑発するつもりでポチと言ったのが、挑発にのることもなく薬師丸力也(やくしまるりきや)は答えた。
「半年前、俺はおまえに負けた」
「半年前?」
力也はぽんっと手をうつ。
「おぉ!四界一死闘会んとこにいる秋葉を捕まえに行ったときか」
「そうだ」
すると力也はいきなり表情を険しくした。
「てめぇ、雫を殺した野郎だな。千尋の代わりに、俺が雫の仇をとってやる!」
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