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「一撃で決めてあげるネ」
「へぇ……」
二人はお互いに駆け、空中で殴り合い、すぐに離れる。
「俺は記憶を失っていた。いや、変えられていた。三能に何かされたのか?」
チロルは頷く。
「そうネ。シェイナさんがレンの記憶を変えたネ。レンのおネエさん、リンの記憶を消し、ただサタンに忠実になるように、とネ」
蓮は唇を噛みしめる。
「っ!そうか、やっぱり……。おいチロル!『風神』と『雷神』同士、仲良くしよう!」
蓮は足元に風を集める。
「いまさら何言ってるネ、レン」
言いつつ、チロルは両手に雷を集める。
「はぁぁ!」
蓮は集めた風をかかとおとしで屋敷にぶつけ、屋根を吹き飛ばした。
「じゃあなチロル」
蓮は屋敷に飛び込んだ。
「なっ!?逃げるノ!?レン!」
チロルは両手に雷を集めたまま屋根に開いた穴へと近づき、
「はぁぁ!」
「ぐがっ!?」
下から蓮に殴り飛ばされた。
チロルは上空へと飛んでいく。
「唸(うな)れぇぇ!サイっクロン!!」
蓮は下方から上空へ『竜巻』を飛ばした。
「レールガン……!!」
チロルは上空から下方へ『電磁砲』を放った。
剣と強固な糸とが交差する。
「ちぃ、中々やるな。白湯羅」
「そっちも♪」
白湯羅は薄気味悪い笑みを浮かべつつ、糸で小さな立方体をいくつも作りあげ、宙に浮かせた。
「よし、なら俺も能力を使うか」
と思った刹那、後方――屋敷方面――でとてつもなく大きな音がし、振り向くと光りが眩しくて目をつむってしまった。
(しまっ)
たと思ったときには既に遅く、白湯羅が作った立方体たちがナイトの体を貫通していた。
「が、ふっ……!」
ナイトはその場に倒れ込む。
「私の糸形(しけい)を受けても生きてるなんて……さすがナイト。ううん、さすが左文字というべきかな♪」
ナイトは自らの剣・フランヴェルジュを強く握り、立ち上がる。
「見せてやるよ、白湯羅。このフランヴェルジュと俺の能力、『隕石』のコンビネーションを……!」
フランヴェルジュが燃えあがり、ナイトの体をも燃やしていく。
「よくわからないけど、そんなの私の〝気〟で硬くした糸で防いであげる」
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