第七話~五人の戦い(前編)~

6/12
前へ
/106ページ
次へ
「一撃で決めてあげるネ」 「へぇ……」 二人はお互いに駆け、空中で殴り合い、すぐに離れる。 「俺は記憶を失っていた。いや、変えられていた。三能に何かされたのか?」 チロルは頷く。 「そうネ。シェイナさんがレンの記憶を変えたネ。レンのおネエさん、リンの記憶を消し、ただサタンに忠実になるように、とネ」 蓮は唇を噛みしめる。 「っ!そうか、やっぱり……。おいチロル!『風神』と『雷神』同士、仲良くしよう!」 蓮は足元に風を集める。 「いまさら何言ってるネ、レン」 言いつつ、チロルは両手に雷を集める。 「はぁぁ!」 蓮は集めた風をかかとおとしで屋敷にぶつけ、屋根を吹き飛ばした。 「じゃあなチロル」 蓮は屋敷に飛び込んだ。 「なっ!?逃げるノ!?レン!」 チロルは両手に雷を集めたまま屋根に開いた穴へと近づき、 「はぁぁ!」 「ぐがっ!?」 下から蓮に殴り飛ばされた。 チロルは上空へと飛んでいく。 「唸(うな)れぇぇ!サイっクロン!!」 蓮は下方から上空へ『竜巻』を飛ばした。 「レールガン……!!」 チロルは上空から下方へ『電磁砲』を放った。 剣と強固な糸とが交差する。 「ちぃ、中々やるな。白湯羅」 「そっちも♪」 白湯羅は薄気味悪い笑みを浮かべつつ、糸で小さな立方体をいくつも作りあげ、宙に浮かせた。 「よし、なら俺も能力を使うか」 と思った刹那、後方――屋敷方面――でとてつもなく大きな音がし、振り向くと光りが眩しくて目をつむってしまった。 (しまっ) たと思ったときには既に遅く、白湯羅が作った立方体たちがナイトの体を貫通していた。 「が、ふっ……!」 ナイトはその場に倒れ込む。 「私の糸形(しけい)を受けても生きてるなんて……さすがナイト。ううん、さすが左文字というべきかな♪」 ナイトは自らの剣・フランヴェルジュを強く握り、立ち上がる。 「見せてやるよ、白湯羅。このフランヴェルジュと俺の能力、『隕石』のコンビネーションを……!」 フランヴェルジュが燃えあがり、ナイトの体をも燃やしていく。 「よくわからないけど、そんなの私の〝気〟で硬くした糸で防いであげる」
/106ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加