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白湯羅は糸を操り、壁を作る。もちろん〝気〟を込める。
「さぁ来て、ナイト♪」
ナイトはさらに燃える。
「隕石に炎の剣・フランヴェルジュ。くらえ!白湯羅!」
刹那、ナイトの姿がかき消えた――
「がふっ!?」
糸の壁などないかというように、それは白湯羅に直撃した。
「……フレイムメテオ(燃える隕石)。そのままの名前だろ?」
ナイトは剣を杖代わりにして倒れ込む。
「はぁ、くそ……」
先ほどカイトと戦ったときの傷・〝気〟の消耗。そして体力を大きく消費する今の技・フレイムメテオ。
ナイトは立っているのもやっとの状態であるのだ。
「おい、白湯羅――」
「まさかナイト。あれが本体だとでも?」
突然、白湯羅が吹っ飛んでいったほうではなく、ナイトの背後から、そんな声が聞こえた。
「十二支剣法、丑(うし)の型・闘牛(とうぎゅう)!」
亙は牛の形をした〝気〟を放った。
「万突き……!」
ヒューズは負けじと一万回突きを放つ。
――キィィン!
「ほう、やるな。副隊長」
「当然だ。私は剣士には負けない……!」
「ならば――」
刹那、亙の姿が見えなくなり、
「ぐがごっ!?」
ヒューズは吹き飛ばされた。
「丑の型・凶牛(きょうぎゅう)……」
あの、見えない攻撃である。
「苦戦しているようね、ヒューズ」
千尋との戦いが終わった所奈が、二人の間に立っていた。
「所奈。手出しは無用だ」
「よく言うわ。あなた、まだ戦う気?」
ヒューズは唇を噛み締める。
「お前、隊長だな」
亙が所奈に歩み寄り、
――バァン!
銃声が響き、
「く……!」
銃弾が命中した。
「中々早かったぞ、隊長」
ただし、所奈に。
「銃弾を打ち返すなど、私にとってはたやすいこと。……言っておくが、能力関係なしに剣士としてなら、私はサタンの中では一番強いぞ?」
亙はそう告げた。
「ほう……」
ヒューズは傷口を押さえながら立ち上がる。
「ならば、貴様に勝てば私は剣士として一番になれる、と解釈していいのかな?」
所奈はそんなヒューズのことを心配もせず、亙を見据えている。
「構わん。私以上に強い剣士など、この世にはいないだろうからな。……いや、待て。そうだ。英雄を倒せば、私は真の剣士になる!」
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