プロローグ

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四界一死闘会でカイトがエイトに撃たれた直後、蓮はすぐさま『十二支の塔』へと向かった……。 そして四界一死闘会が終了した翌日の夕方、蓮は『十二支の塔』の門に到着した。 「姉上、待っていて下さい」 蓮が門を潜(くぐ)ろうとすると、上空から一匹のドラゴンが舞い降りてきた。 ドラゴンというのは蓮の何倍もの大きさで、巨大な翼が背中に二つ生えている魔物のことである。 その背中に、男が一人乗っていた。 「よう、蓮」 男はドラゴンから飛び降りた。その男とはナイトであった。 「いいぞチャッピー、帰れ」 ドラゴンはぐおぉと鳴いて飛んでいった。 「左文字騎士、邪魔するなら殺す」 「邪魔?しねぇよ。俺はカイトと戦いたいだけだ。ほれ」 ナイトは早く門を潜れと首で蓮を促(うなが)した。 「せいぜい死ぬなよ」 「ああ」 ナイトは門を閉じた。 「懐かしいな」 蓮は門から一番近い塔に向かった。 「待つネ、レン」 蓮の前に金髪の少女が現れた。 「チロルか」 チロルは蓮とあまり背丈(せたけ)が変わらない金髪の少女だった。 「何しに来たネ、レン」 「姉上を取り返しに」 チロルの両手がバチバチと唸(うな)る。 「相変わらずのシスコンぶりネ」 蓮は片腕を上げて、そこに風を集めた。 「余計なお世話だ」 チロルは手のひらを合わせた。瞬時にバチバチと唸る球が出来上がる。 「ミーの『雷』とレンの『風』、三年前は雷神と風神とまで呼ばれていたネ」 「三年前はな。今は違う」 二人の球がどんどん大きくなっていく。 「サタンに逆らったらどうなるかぐらい、レンはわかってるはずネ」 「…………」 「殺されるかもしれないネ……」 「チロル」 「なんネ」 「カイトは能力者でもないのに能力者を何人も倒してる。だから俺もカイトに負けないぐらい強くなって、姉上を苦しめたサタンを潰す」 「……レン、ミーはもう容赦できないネ。今のはサタンを完全に敵に回したネ」 「構わない」 蓮とチロルは同時に球を投げ飛ばした。 蓮の風の球と、『雷』の能力者であるチロルの雷の球がぶつかり合う。 「ごめんネ、レン。でも殺しはしないヨ……」
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