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チロルの雷の球が、蓮の風の球を吹き飛ばし、風と雷の球が蓮に直撃して、蓮は吹き飛んだ。
「大人しくするネ、レン」
「捕まるわけにはいかない!エア・ハンマー!」
蓮は風の塊をチロルに投げ飛ばす。
「レンはアマちゃんネ。ミーには勝てないよ。伸雷(しんらい)!」
チロルの体から細長い雷が発生し、風の塊ごと蓮の体を貫いた。
「がはっ」
蓮は口から血を吐く。
「レン、もう一度サタンに協力すると言うネ」
「嫌、だね……」
「じゃあ終わりネ、レン。サンダーレイン!」
雷の雨が蓮を襲った……。
時間は一日前に戻る……。
カイトとヒューズは病院から出て、近くのベンチに座った。
「ヒューズさん」
「どうした」
「修行しながら支部に向かいましょう。エイトの言葉が本当なら、ジャンヌたち能力者を殺さないと思うんです」
エイトは「殺さない」とか「能力者には優しい」とか言っていた。
「ふむ。このまま行ってもまた、やられるだけだろうからな」
カイトは頷く。
「俺はもう、誰にも負けたくありません」
「そうだな……私も、特に剣士には負けたくない」
カイトも剣士なのだが、ヒューズはカイトではなく、恐らく十二支剣法使いのことを言いたいのだろう。
「少し待っていろ」
ヒューズは病院に入っていった。
「……春菜、夏希、冬美、秋葉、葵……ジャンヌ……助けるからな」
カイトは思い出したように言葉を続けた。
「あと凜と蓮、行方不明のジュジュとか」
当人がそこにいたら「おまけかよ」と突っ込まれそうである。
カイトが独り言を言っていると、頭に声が響いた。
『我……えが……たら、返事……ろ』
「我絵がたら、変次郎?」
だが、声は返ってこなかった。
しばらくしてヒューズが病院から出てきた。
「待たせた。で、修行はどれぐらいだ?」
「そうですね……半年なんかどうでしょう」
「ふむ……まあ、半年あればカイト君、君なら強くなれるな。では今度こそ、十二支の塔へ向かおうか」
「はい!」
カイトとヒューズは、修行をしながらサタン支部『十二支の塔』を目指した……。
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