アリス

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■■■ 「おばさん香水作ってたんだ」 と栄太郎が云った。 「母さんが調合してくれた世界にひとつしかない香水、母さんが生きた証」 「そっか」 髪の毛を払いあげる。 ラベンダーの香りがした。 母の残り香。 しかしそれもいつか消えてしまう、だからその前に― あたしはゆっくり眼を閉じる。 いつの間にか鎖が消えていた。 多分。 あたしは狂ってる。 そうでなけれ取り憑かれてるかどちらかだ。
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