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あたしは父親と二人で暮している。
父は牧場を経営していて、仕事は馬の世話だ。
生活は決して楽ではない。牧場を手伝ったからと云って給料がでるわけではなく、小遣い程度の金だってままならない。
車はバス停の横を通り過ぎてゆく。
『北島さんの家200m手前』と書いてある。畑の向こうに見える青い屋根が北島さんの家だ。でも、あたしは北島さんに会ったことはない。
窓に映る自分の顔を見つめる。
長くストレートに伸びた髪、ひだり眼の下に小さなほくろがある。
作り笑いをしてみる。
ここにいるのは誰でしょう。
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