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やがていくつかの年月が過ぎ 青と赤の戦争が起きた 靴屋も肉屋も時計屋も 大きな銃を手に取った 人を殺す道具を持った 少しばかり大きくなった 少年も銃を持った 身の丈に合わぬ銃を持った 祖父を泣かせた豚の糞を ひとりでも多く殺すために やがて戦が始まると 少年は勇気を奮った 亡き人となった祖父のために たくさんたくさん銃を撃った 憎き赤いけだものを 良心の呵責も知らず 撃って撃って撃ちまくった 殺して殺して殺しまくった やがて青の民たちは 小さな英雄をまつり上げた 憎き赤いけだものを 人の姿をした糞を 誰よりたくさん掃除したから 少年は誇らしかった みんなが褒めてくれたから 父も母も喜んだから 天国の祖父も笑ってくれる そう信じることができたから 正しいことをしたんだと 誇りにおもうことができたから
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