蛍の君へ

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「死ぬって…」 「俺の心臓、ヤバいんだ」 俺の心臓だってヤバい。 陽太が死ぬなんて 絶対 ウソだ 「心臓の機能が徐々に落ちてるって。いつ止まってもおかしくないらしい。 1ヶ月前家で倒れて、それで判明した」 「病院は…?都会の方の病院行けば治るんじゃないのか!?」 「治んねぇよ。それに家にそんな金ないしな。入院してればある程度は長く生きれるかもしれないけど……俺はヤだね。闘病生活なんてしたくないし。どうせ先が長くないなら、最後まで好きな事 してたいよ」 陽太は重なった俺たちの手を ただ見つめている。 俺たちの手の中で 蛍はせわしなく動く。 「…陽太。死ぬとか、ウソだよ、な…?」 「ウソついてどうするよ」 「だって、簡単に死ぬとか…!!」 今、俺の手のひらの上にある陽太の手は 温かい… 確かに生きている証。もうじき冷たくなってしまうなんて 俺には考えられない。 ふと 俺の頬を温かいものがつたう。何年振りだろうか、涙を流したのは―。 「…冬真、気にするな、よくある事だ」 暗い夜道に 陽太の眩しい笑顔が灯る。 .
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