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ベンチに座り、足を組み、瞼を閉ざしている太一はあからさまに俺は怒ってます、的なオーラを醸し出していた。
そして俺が着いたのを確認した太一は開口一番に説教を始めたのだった。
「遅ぇぞ佑季!人を待たせるとは常識のないヤツめ。まぁ来ないよりマシだけど、でも待たせるのは常識的に考えて――
「待て待て待てぇー!!」
俺は太一の言葉を遮るような形でかなり大きな声で叫んだ。
すると太一は怪訝顔でこちらを見てくる。
頼むから言い訳くらいさせてくれよ……
「あのなぁ太一、俺は好きで遅れたわけじゃないんだよ。今日は運悪く掃除当番だったんだよ!!だから予定の時間に間に合わなかったんだ。だから、な?」
それを聞いた太一は多少呆れたような顔してたが、今日の所は見逃してやるよ、と意外と簡単に許してくれた。
「サンキュ!!恩に着るぜ」
「それより早くやろうぜ」
この日が俺のソフトテニス人生の幕開けだった。
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