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「和也ー、衣装合わせてみてー」
同じクラスの女生徒から呼ばれ、和也は友人と囲んでいた机を離れた。
9月も末となった放課後の教室では、10月に控えた体育祭の準備に皆が追われている。
和也を呼んだ女生徒も、その一人である。
彼女は、自軍の応援団の衣装製作を手掛けていた。
「サイズは大体問題ないみたいね。まだ仮縫いだけど」
衣装を合わせ、黒目がちな目で厳しいチェックをしながら彼女は言う。
「動きやすさはどう?」
尋ねられて和也は、問題ないと答えた。
茜、と彼女を別の女生徒が呼ぶ声がして、彼女はそちらへ向かった。
茜が衣装の縫い方を尋ねられ、そしてそれに答える声がする。
忙しく動き回る、活発気にまとめられた髪へ目をやり、和也はまた元の机へ戻った。
和也へ、おかえり、と声がかけられる。
ただいま、と彼は答え、友人達へ進行状況を尋ねた。
教室の黒板寄りで囲まれたこの机では、競技の作戦が練られている。
「騎馬戦に和也は外せないだろ」
「短距離走もだよな」
「400メートル走も」
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