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「小学生の頃、川の深い場所に入って流れに飲まれちゃってさ」
あれは俺の人生の汚点だ、とかつて川で溺れかけたという彼は呟いた。
「でも本当に溺れなくて良かったね」
茜が白く細い指を軽く口へ当て、笑った。
そして同意の声が周囲から上がり、また輪は笑い声に包まれた。
下校時刻が近づくと、校内は人がまばらになった。
日が落ち始めたため、教室が薄暗くなる。
教室後ろに固まる衣装製作班から、疲れた、と声が上がるともなく上がった。
そういえば、と和也は呟き机を離れた。
「電気つけてないじゃん」
彼が蛍光灯のスイッチに手を伸ばした時、それを止める声がした。
要だ。
「一休みしようぜ」
軍のリーダーとなる予定の彼が教室後方へも目をやる。
和也が首を傾げていると、焦げ茶色に髪を染めたリーダーは悪戯に目を細めた。
「怖い話大会」
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