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優は考えるより先に叫んでいた。
「恵太!駄目だ!!」
その声に思わず振り向く恵太。
「……!!」
こちらを見た恵太のすぐ後ろに、先程の人影がいた。
そいつが恵太に手を伸ばしたと思った時、恵太の姿が視界から消えた。
「恵太ぁぁ!!」
潤が走り出す。
「潤!!よせ!!!」
冬哉が潤の肩を掴む。その手を振りほどき駆け出す。
後ろで優と冬哉が叫んでる。
だが構ってられない。
恵太がいた場所に辿りついた潤は信じられない物を目にした。
自分の足は、土を踏みしめて無かった。
真下に、恵太が倒れている。
頭が絶えず警鐘を響かせる。
堪らず元の場所に戻ろうとした。
…しかし、もう手遅れだった。
体が浮遊感を感じた。
無限とも一瞬ともとれる時間の後、鈍い音と強い衝撃。
(あ…俺…死ぬのかな……)
不思議と痛みはない。
走馬灯も、死への恐怖も浮かばなかった。
ただ、死が自分を迎え入れた事だけがはっきりと感じられた。
…アト…フタリ……
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