17人が本棚に入れています
本棚に追加
波間から浮かぶように、意識が覚醒する。
初めに目に入ったのは白い天井だった。
「……僕は…?」
優が目覚めたのを皮切りに、室内が慌ただしくなった。
どうやら病院に運ばれたらしい。
その後優は検査を受け、すぐ退院になった。退院の準備をしてる間、優は最も気になった事を親に尋ねた。
「母さん…三人は…?」
声が震えているのが分かった。聞かなくても、分かっていた。
…返って来た返事は、優の想像と何一つ違わなかった。
…三人は崖から落下しほぼ即死、優は後に来た登山客に発見され、病院に運ばれたらしい。
「…恵太…潤…冬哉…」
悲しいと思うのに涙は出ない。
立て続けに非現実的な事が起こると涙も渇れるものなのかな…?
優は退院し、自宅に戻った。居間でテレビを見た時、見覚えのある山がテレビに映る。
「……!!」
親が慌ててチャンネルを変えようとする。
だが、手遅れだった。
最初のコメントを投稿しよう!