絵里香

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「絵里香はね、恋愛体質なの。」 絵里香はそう言うとにっこり微笑んだ。 しっかり手入れされている爪先を覗かせながら長い巻髪をいじる。 「誰か好きでいなきゃ、つまんなくて、淋しくて、きっと死んじゃう。」 「絵里香らしいね。」 「そうかなぁ?」 絵里香は屈託のない笑みを浮かべ、またすぐにメールに熱中した。 絵里香と私は似ても似つかない。 だからこそやっていけるのかもしれない。 絵里香は私にないモノを持ってるから…。 「西沢、ちょうど良かった!」 その日は珍しく部活が早く終わったので職員室で担任と話していたら、国語担当の先生に話しかけられた。 「この資料、第2図書室に戻しておいてくれないか?」 「えー。」 第2図書室とは滅多に利用されない資料限定の図書室で、普段使われない教室のそばにあるのだ。 「頼む!後で何か奢ってやるから!」 そこまで言われたらやるしかないか…。 「わかりました。どれですか?」 私は重い腰を上げた。 「これなんだがな、一応ちゃんと棚に戻しておいて欲しいんだ。」 「はーい。よっと…。」 山になっている資料を持ち上げて、私はよろよろと職員室を出ていった。
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