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第2図書室
「あー…重…」
ずっしりとした資料を両手に抱えて階段を上がり、久々に第2図書室へ向かう。
「あった、」
目線を上げると、第2図書室と書かれたプレートが見えた。
特に意味がないが、鍵がかかっているはずのドアに手をかけた。
ーガラガラッ
…開いてる…
「無用心だなぁ…。」
とも思ったが、滅多に使われないから当たり前だなと思い直した。
「失礼しまぁす…。」
薄暗くて独特の匂いがする部屋にゆっくりと足を踏み入れた。
入ったのはこれが初めてで、幽霊でも出るんじゃないかと思う位静かだった。
早く棚に戻して帰ろう…。
莉子はひとまず資料を机に置き、ファイルに貼られたネイムテープが示す棚に資料を入れた。
「ぇえっと…は行…は行…は…。」
指先で本棚の資料をなぞっていくと、
「…!?」
部屋の隅っこに、
人がうずくまっていた。
思わず悲鳴を上げそうになり、とっさに口を手でおおった。
まさか、死んでるとかないよね?
莉子は資料を持ったまま、ゆっくりと近付いた。
「ん…。」
微かに聞こえる寝息。莉子は胸を撫で下ろした。
なんか、見覚えのある人だな…。
長めの黒髪、白い肌、銀色のチタンフレームの眼鏡の男。
「…あ!」
思い出したのはいいものの、ついでに大声が出てしまった。
直ぐさま口を右手で押さえたが遅く、男はゆっくりと目を開けた。
「…。」
無言のまま交わされる目線。
レンズ越しに見える鋭い瞳。
「…っ。」
?バサバサッ
莉子はその場に持っていた資料を投げ捨て、逃げるように部屋を出た。
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