7人が本棚に入れています
本棚に追加
莉子は固まったまま、動けなかった。
状況が飲み込めないままの莉子を無視して、男は両手にある資料をひょいと持ち上げた。
「俺がやっとくから、君帰りなよ。」
「…ぇ、でも…、」
「俺さ、ココに他人がいるのすげー不愉快なんだよね。」
………………は?
「ふ…不愉快…?」
「誰も出入りしなくて、絶好の昼寝スポットだったのになぁ。」
男はブツブツ言いながらも資料を棚に戻していく。
「そっ…あんたそれでも教師!?」
「教師だって人間だし。」
信じられない。
こんなのが教師なの!?
莉子はギュッと拳を握り、逃げるように部屋を出た。
「信じられない!なんなのアイツ!」
帰りながら頭に浮かぶのはあの男の顔とあのセリフ。
『不愉快なんだよね。』
ただただ、胸が痛くて。
「…嫌な奴…。」
莉子はもう二度とあの場所に近付かないことを心の中で誓った。
最初のコメントを投稿しよう!