1――神崎龍一

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「四月三日、共通時刻二時二五分頃、日本の長野県森林にて魔界で指名手配中のジュネル=ランパーソンとメルカディア共和国の裏組織が裏取引している現場を見事押さえ、逮捕した。さらに逮捕した刑事「近藤三郎太」氏はこう語っている。『我々は犯罪を憎んでいる! 今回の事件でまた新しい事実などが発覚するだろう。しかし、我等は徹底的にこういった犯罪を無くすよう死力を尽くすつまりです!』、か」  そこまで音読し、一言。 「ていうか、犯罪無いと俺らの仕事あがったりなんだろうけどな」  自室で今朝、発行された新聞を読みながらぼやく男が一人。  まるでやる気が無いように感じられる彼の名前は『神崎 龍一』という。  その覇気や男気という言葉が頭の辞書から消滅してしまったように脱力しきった顔には、眠たげな雰囲気が漂っている。頭もボサボサ一歩手前でろくに手入れもされてない。背は微妙に高いが別に大柄では無いし、筋肉も普通だ。  ちなみに趣味はボーっとする。特技は立ったまま寝る。    新聞を適当に見終えたら、焼かずにトーストを食べ牛乳で流し込み、三日前に特売だったから買ってきたトマトを一つ頬張り、また牛乳で流し込む。  テーブルの果物カゴにあったバナナを一本食べると牛乳で流し込んで、時計を見れば八時二十分。
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