一歩目【17歳、春】

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もとは イギリスだか何だかのお金持ちの老人が、 自分の別荘にと買った土地だったらしいが、 そこに何故、 学校が建ったかなど 自分にとってはどうでも良いことだった。 (そうよ。) だって、一緒 全部。 全部。 全部、一緒… あたしは 息を大きく吸い込んだ。 すんだ空気が 体に入り込むのが分かる。 空気くらいは いつもと違うものであって欲しいと願いながら、 肺が限界まで膨らむように吸い続ける。 「ぷっはぁっ…」 それを一気に吐き出すと、 あたしは校門をくぐった。
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