一歩目【17歳、春】

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「ウミ、おっはよ~」 「おはようです。」 校舎に足を踏み入れた途端、 後ろから声をかけられた。 一体、誰か、 と後ろを振り向くと、 二人の少女が 笑いながら立っていた。 「ウミが遅刻しないなんて珍しいじゃん? なに、何かあった?」 そう言って、 ニヤニヤ笑っているのが 木崎宝(きざきたから)。 ベリーショートの髪が 良く似合うスポーツ少女。 その隣にいる 長い黒髪を二つに結び、 「何かあったのですね? そうですね? まさか、ダンディーな殿方と…」 などと、 何やら、 変な想像をしている お嬢様風少女が 藍瀬麻耶(あいせまや)。 二人とも 同じクラスの友達だ。 「何にもないよ。 ただ起きただけ。」
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