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そんな二人に
あたしは
そっけなく答えた。
その言葉に、
「なんだ~」
「違うですか。 そうなのですか…」
二人は
本当に残念だ
と言わんばかりに
落ち込んだ声を返す。
特に麻耶は、
膨れっ面で
上目遣いに
こっちを見つめていた。
いや、睨んでいた。
それはそれは
さも
不満だと言わんばかりに。
弱々しい言葉との
あまりのギャップに
あたしは一瞬、
息をつまらせてしまう。
それでも
どうにか息を吸って、
「怖いよ~?麻耶、怖いよう~」
できるだけ
可愛らしい声で
しおらしく言った。
その声は
自分でも驚くほど弱々しい。
今にも
泣き出しそうな声とも
言えるだろう。
けれど
麻耶には
このくらいが一番きくのだ。
その証拠に、
「あわわっ! ごめんです! 泣かないでください~」
慌てふためきながら
麻耶は手をバタバタと振っている。
まるで
空を飛ぼうと試みるペンギンみたい。
「嘘だよ、嘘。 平気だから」
ちょっとやり過ぎたかな。と
心の中で笑って、
あたしは言葉を発した。
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