一歩目【17歳、春】

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そんな二人に あたしは そっけなく答えた。 その言葉に、 「なんだ~」 「違うですか。 そうなのですか…」 二人は 本当に残念だ と言わんばかりに 落ち込んだ声を返す。 特に麻耶は、 膨れっ面で 上目遣いに こっちを見つめていた。 いや、睨んでいた。 それはそれは さも 不満だと言わんばかりに。 弱々しい言葉との あまりのギャップに あたしは一瞬、 息をつまらせてしまう。 それでも どうにか息を吸って、 「怖いよ~?麻耶、怖いよう~」 できるだけ 可愛らしい声で しおらしく言った。 その声は 自分でも驚くほど弱々しい。 今にも 泣き出しそうな声とも 言えるだろう。 けれど 麻耶には このくらいが一番きくのだ。 その証拠に、 「あわわっ! ごめんです! 泣かないでください~」 慌てふためきながら 麻耶は手をバタバタと振っている。 まるで 空を飛ぼうと試みるペンギンみたい。 「嘘だよ、嘘。 平気だから」 ちょっとやり過ぎたかな。と 心の中で笑って、 あたしは言葉を発した。
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