一歩目【17歳、春】

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あたしは立ち上がると 来ていたパジャマを乱暴に脱ぎ捨て、 椅子にかけておいた制服を取った。 無機質な冷たさに眉をひそめながらも カッターに手を通す。 残りも同じように身に付ければ、 着替えは終わった。 その足で 顔を洗うべく、 一階にある洗面台(お風呂場の横にあたる所)へ向かう。 一階に繋がる階段を、 一段、 また一段と降りる。 そのたびに、 足音がパタパタと鳴り響き、 この場には 自分しか居ないのだと 認識させられた。 全ての段差を降り、 目的地で顔を洗う。 そして、 朝ご飯のためキッチンへ。 ノブを回し、 扉を開けると 母さんの明るい笑顔がふってくる。 「おはよう、ウミ」 「おはよう、母さん。今日のご飯はなぁに?」 「さぁ?何かしら?あててみて?」 あたしの質問に クスクスと面白そうに笑う 母さんの返事はクイズ調。 そして あたしは笑顔で答える。
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