蒼い月

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遠いところに、行ったのだろうか? 気配も感じられない。 結界が壊れて元の景色に戻る・・・。 ・・・すごく嫌な予感がした僕は、 大急ぎで病室に向かった。 すれ違う病院関係者をかわして、 ようやく病室に たどり着いた時には・・・ ベットの上にいる園子さんは ・・・すでに息をしていなかった。 とても安らかな顔をして 逝ってしまった。 ・・・守れなかった! 僕は、涙を流して 立ち尽くすしかなかった。 ねえ? 死神の力って何? 何の役にも立たないね・・・。 結局、僕は勝つことが出来ても、 何も守れなかったんだ。 ・・・・・・あれから数年後。 久しぶりに、二人の墓の前にやって来た。 軽く、手を合わせて目を瞑る。 スケッチブックを墓の前に置いて、 紫欄の花束を添えた。 僕は、静かに誓った。 「これから先はずっと   大事な人を・・・   人間を、守って見せるよ。」 今日も空から降り注ぐ日差しは、 優しく僕に微笑んでいた。 ・・・・・・そして。 彼の本当の戦いは、 ここから始まる。 〈序章〉完
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