森の女王

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<第一幕> 校内で、人が消える。 そんな噂が、 柳 智子の通う聖西院学園の 2年C組の教室にも広がっていた。 「今度は、1年の生徒らしいわ。」 「これで、3人目ね。」 「変質者の誘拐事件だったら     どうするんだ・・・。」 「実は学校の中に  犯人が居たりして・・・。」 「ちょっと、怖いこと言わないでよ!」 人が突如消えるのだ。 そんな学校の怪談のような噂が 飛び交っていた。 言うなれば、良くある話。 いまどきの子なら 興味の湧く話でもあるのだが。 結局、ちょっと不良っぽい子が 家出でもしたんじゃないの? 智子は、そう思っていたが とても心配だ。 何が心配かというと、 違うクラスの良く知った女子生徒が こちらに駆けて寄って来る。 「ねぇ。智子。聞いた?」 「調べようよ~。」 ん? 何をいつ、どこで?・・・。 ・・・ほら来たぁ。 オカルト部の部長の相川 春子だ。 部長といっても、 部員は二人しか居ない。 もう一人は、 オカルトとは違う意味で幽霊部員だ。 黒ブチの眼鏡を掛けて、 髪はツインテール。 お願いだからこの子の 好奇心というか トラブル好きな性格を どうにかして欲しいと思う。 「もう、なんの話よぉ?」 智子は、次の授業の用意をしながら、 どうやって断ろうか考えていた。 なんの話か解かってはいるのだが 出来る事ならば、はぐらかせたい。 大親友ではあるのだが? 私は・・・ね。 ホラーとか、お化けの話が 嫌いなのよぉ! 絶対どうせ、また夜の学校に 忍び込もうとか言うに決まってる。 「もう。とぼけっちゃって。」 「例の話よ?」 「えぇ?また霊の話?」 「そうじゃなくて、行方不明者の話よ。」 「学生が、学校内で消える。」 「このままだと七不思議に     入るかもね・・・。」 「うんうん!」 「なんか楽しくなってきた!」 一人で盛り上がってる春子を他所に、 智子は春子の話を 聞き流して教科書を開いている。 「面白いと思わない?」 「ねえ?聞いてるの?!」 それに気付いたようで、 流石にちょっとムッとしている様だ。 「分かってるくせに~。」 「もしかして?怖いの?」 いたずらっぽく、智子の顔を覗き込む。
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