蒼い月

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不意に、持っていた鎌を空に消す。 目の前を、楽しそうに買い物袋を ぶら下げた、母と娘が通り抜ける。 「ねえねえ、おかあさん!」 「今度の日曜日お父さん     帰って来るかな?」 「そうねぇ・・・  美代子がお利口さんにしていたら、          帰って来るかもね」 「遊園地に行く約束だもんね!」 「美代子。ちゃんと、おかあさんの  言う事聞いて、お利口にするもん」 「楽しみだなぁ~遊園地ぃ!」 楽しそうに、はしゃぎながら 会話している親子の母親の周りには、 赤色の死のオーラが見える。 もうすぐ、死ぬ運命の人だ。 僕は、周りから見えない様に姿を 消してから空から鎌を取り出した。 そっと母親の背後に忍び寄り、 一気に鎌を振り下ろす!! ザクッ! 肉体から母親の魂が抜けていく。 恨めしそうに、こっちを見ながら・・・ その魂は天に昇っていく。 ・・・なぜ?わたしが? そんな疑問の表情で、 ただの肉の塊に変わった母親は、 静かに倒れていく。
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