優しい嘘の代わりに、残酷なキスを。(将九)

2/4
前へ
/7ページ
次へ
真夜中。   何もない一本道を月が照らしていた。   道には影が2つ。   向かい合うように立っていた。   先に口を開いたのは小さな方。   「…もう、行くのか」   問いかけではなく確認するような口調だったのは、すでに何度か同じ別れを経験しているからだ。   「ああ…」   何度も経験していながらもわざわざ肯定したのは、そうしないと固めた決意が揺らぎそうだったからだ。   「そうか…」 「ああ…」   その言葉が合図だったかのように、痛いぐらいに抱き締めあって2人の影を重ねた。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加