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真夜中。
何もない一本道を月が照らしていた。
道には影が2つ。
向かい合うように立っていた。
先に口を開いたのは小さな方。
「…もう、行くのか」
問いかけではなく確認するような口調だったのは、すでに何度か同じ別れを経験しているからだ。
「ああ…」
何度も経験していながらもわざわざ肯定したのは、そうしないと固めた決意が揺らぎそうだったからだ。
「そうか…」
「ああ…」
その言葉が合図だったかのように、痛いぐらいに抱き締めあって2人の影を重ねた。
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