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「頼久、俺にもう一つ言うことは?」
くすっと小さく笑って頼久に問いかければ、あいつは耳元で囁くようにもう一言。
「今年も愛しているぞ、天真」
「上出来」
「天真は、私に言うことはないのか?」
その言葉に少し笑って、同じように耳元で囁くようにもう一言。
「今年も愛してるよ、頼久」
「当たり前だ」
きっと来年も同じやりとりをするんだろうなと思いながらもそれを言わないのは、このやりとりを楽しみにしてるから。
このやりとりを重ねながら年を重ねるのも悪くない、と思いながら、俺はゆっくりと目を閉じた。
次に降りてくる口づけを待ちわびるように。
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