責め

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眠さが相まっているのか 今の私の躰は熱っている 顔の輪郭をなぞる 指先で 喉仏から 臍まで一直線 急所から 生命の痕跡まで 途中には 廻る血を送り出す心臓を経由 ふと くちづける 甘噛みをする 唇に神経が集中する ゾクリと 何かに摘まれたように 胸の奥が甘い痛みを放つ 吐息が 甘くなる 必死に堪えているようだけれど もう少しで 嬌声に変わるだろう 眉間に皺がよっている 耐えてる 耐えてる そんな表情が 私の嗜虐心を掻きたてる このまま 君を抑えつけて 唇を塞いでいたら 君はどんな貌<かお>になるかな 泪をも流すかもしれない 見てみたい そんな君を その首を絞めたら その首に紐を結わえたら 君はどんな聲<こえ>を出してくれる? 聴いてみたい その聲を 君の被っている 理性と言う名の皮を 剥ぎとってやりたいんだ 君がどんな 『化物』なのか しかとこの眼に 収めたいんだ 衝動に駆られる私は 人間という皮を被った 嗜虐心の塊 この熱は いつ収まるのだろうか 熱が高くて 君を壊したい気持ちが溢れそうになる 一種の愛情とは言えない 禍禍しい 狂気 今日が満月だからかな みえない力とやらに 呼ばれてしまったらしい こんな日は ずっと君の耳元で 君を追い詰めていく言葉を 囁いていてあげよう さぁ ご自由に 壊れて よがっておいで
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