不思議・一

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雄太は真っ先に準備室へ向かった。 その後ろを二人で心配そうについていく。 暗い廊下。懐中電灯で照らされた部分しか見えないのが不気味だった。 雄太はスタスタと歩いていく。 チカチカ。 急に懐中電灯の調子が悪くなった。 雄太がバシバシ叩くと元に戻った。 しかし、嫌な予感だけは頭に残った。少しずつ不安が胸を押し潰すかのように募る。自分の心臓の音が二人に聞こえそうだ。 「着いたぜ…準備室…」 そう言うと雄太はドアにそっと手を掛けた。 「うわッ!!!!」 「どうした!?」 「え?静電気だよ…」 雄太も実は怖がりなようだ。雅也の方が落ち着いている。 「あれ…雅也は?」 悠人が振り向くとさっきまで居たはずの雅也の姿が見えなくなっていた。 「ちょっと探してくる!」 「おい、待てよ!!」 悠人は雄太一人を残し、雅也を探しに夜の校舎を走った。 「全く、何を考えてんだ雅也の奴!」 悠人は来た道を懐中電灯も持たずに探し回っていた。暗いが仕方ない。だんだん目もなれてきた。 「おい、雅也!返事しろ!」 一向に返事はない。それよりも、またあの感じだ。音が消えている。自分の走る音しか聞こえない。 急にとてつもない不安が悠人を襲った。 本能が叫ぶ。 『早く見付けないとマズイ』 悠人は必死で雅也を探した。
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