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「お前は重すぎだぜ」
雅也は雄太の家に向かって歩いていた。遠くの街灯がチカチカと点滅しているのが少し不気味だった。
あと数分で雄太の家につく。雅也の歩調は次第に速くなっていた。
と、その時だった。
「うぅん…」
「え?雄太気付いたか!」
雅也は飛び跳ねて背中の雄太を揺すった。
すると、雄太の手が肩に伸びた。
「お前、大丈夫だったのかよ!後で悠人に…ぐっ!!!!」
雅也の首に痛みが走り、意識が遠退き始めた。物凄い力で首を締められているのだ。
『貴様…机を…』
聞き覚えのある雄太じゃない声。
「かはッ…くくく…」
声も出せず助けも呼べない。
雅也は膝から地面に崩れ落ちた。手を振りほどこうにも人間とは思えないほどの力になす統べもない。次第に視界がせばまっていく。耳鳴りが聞こえる。
俺は死にたくない。
雅也は最後の力を振り絞り、立ち上がった。
そして、背中を地面に叩き付けた。
「ぐふッ…」
雄太は背中を思いきり地面にぶつけ、息苦しそうにした。
「ゲホッゲホッ…くそ!」
雅也は何とか手を振りほどいて雄太の顔をのぞいた。
雄太の目は白眼を剥き、街灯に照らされた顔は若干青白くなっていた。
長めの髪が更に不気味さをかもし出している。
「どうしちまったんだよ…雄太…」
雅也はヒリヒリと痛む首を擦りながら悲しい目で地面でぐったりしている雄太を見つめた。
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