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「うわっ…」
「ん?どうした」
「あ、いや、何でもない…」
夜の校舎。いつもは生徒でごった返している学校も夜になると違った姿に変わる。
人が集まる場所ほど、いなくなれば霊が集まる。
そんな話を聞いたことがあった。
「あ、あった…これだ…」
男はある物を手に取った。
「ホントだ…よし、やってみるか…」
そう言うと二人は一つの机を担いで廊下へ出ていった。
『準備室』
暗い廊下でやけに鮮明に見える表札。
「おい、クラスまで運ぶぞ」
「あ、あぁ、わりぃ…」
そう言って二人はその場から立ち去った。
「ワタシノ机…」
声がして振り向く二人。
「え?何か言ったか?」
「いや、何も…」
顔を見合わせた二人は一度机を床に下ろした。
「か、懐中電灯よこせ…」
「おう、ほら…」
後ろを懐中電灯で照らすが永遠に続きそうな暗い廊下しか見えない。
「さっき…声したよな?」
「あ、あぁ…した…」
だんだんと不安が大きくなってゆく。
二人の頭にはあの七不思議が浮かんだ。
「ま、まさか…本当に…」
「そんなワケ…」
ヒヤリ。
空気が冷たくなったような気がした。
二人の背中を冷や汗がつたう。
『ワタシノ…机…』
「うわぁぁぁぁぁぁぁ」
ガシャン。
机を倒してしまい、大きな音が廊下に響いた。
二人は必死で学校から逃げ出したのだった。
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