不思議・一

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「え~、と言うわけで明日から夏休みだ。宿題やれよ、羽目を外しすぎんなよ、一線を越えるなよ、薬に手を出すなよ。そんなとこか…」 担任の落合先生が面倒臭そうに夏休みのことについて教卓に頬杖をつきながら話している。 「早く終われ」 心の中で強く念じる。 高校一年の高倉悠人は配られた宿題やプリントを素早く鞄に入れてその時を待っていた。 「と、話はここまでだ!いやぁ、かったるい…」 落合先生は今年で52歳になるベテランの教師だ。去年の卒業生を送り出し、そのサイクルで一年の担任をすることになったらしい。 「でだ、実は昨日の夜、学校に侵入者が出たらしい。何考えてんだか…面倒だからやめて欲しいな…お前らはすんなよ?じゃ、楽しい夏休みを満喫しろ。号令」 『起立、礼、さようなら』 一学期が終わった。 追い立てられるかのように悠人は教室の後ろへ向かった。 そこではもう二人が話をしていた。 桜井雅也と中松雄太だ。 この二人とは入学式で仲良くなった。 きっとこれからもこいつらとは仲がいいだろう。
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