2・契約

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 その日の講義も終わり俺は帰り支度を済ませると家路に着いた。 俺のバックの中には相変わらず『封魔の書』が入っている。 あれから俺なりに調べてはみたが、この本の事は何も掴めなかった……。 唯一の手がかりといえば……あの女、香鳥沙耶くらいだ。 会って聞くのが一番手っ取り早いんだろうけど、生憎俺は彼女の名前しか知らない。  (適当に歩いていて、偶然再会なんて都合のいい展開……あるわけないか)  そんなアホな事を考えながら何気なく横を向いたその時、俺の足は止まった。 俺の視線の先にいるのは、あの日図書館で会ったあの女、香鳥沙耶だった……。  「おいおい、マジかよ。都合のいい展開があったよ……」  あの時のようなスーツ姿でなく白と黒のストライプセーターにスキニーデニムだったので印象が違い一瞬わからなかったが……。 沙耶は当然俺に気づくことなく通りの奥へと歩いていく。 まさか、こんなところで会うなんて……、俺はあまりにもタイミングのいい偶然に驚きながらも沙耶の後を追いかけた。
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